トヨタ・トヨエースのエンジン警告灯が点灯。原因や症状は??
車両情報
初度登録年月 平成18年3月
型式 PB-XZU388
原動機型式 N04C
総走行距離数 246,728km
症状
走行中エンジンチェックランプが点灯し、その後、吹け上がらなくなり調子が悪くなった。
と、いうことで入庫。
早速診断へ・・・
G-SCAN Tab(DENSO DST-iでも診断) によると・・・
「P2002 DPR/DPNR異常(燃料添加量異常・劣化検出・目詰まり)
と、出ました。
まず、DPRとは・・・
[Diesel Particulate active Reduction system]
の略で、「ディーゼル微粒子捕集フィルター」のことで
こんな感じのマフラーのことです。
ちなみに・・・「DPF」とは・・・
[Diesel Particulate Filter]
の略で、主に{ふそう・日産・マツダ}などについているモノがこう呼ばれております。
細かい部分に違いはあるかもしれませんが、意味としては一緒として捉えて差し支えはないと思います。
メーカーなどにより色々な点検方法や考え方があるので、あくまで参考までに・・・
ネットでいろいろ検索してみると、沢山の業者の方々がこの「P2002」の診断に悪戦苦闘し色々な方法やアイデアなどを投稿しているのを拝見させていただきました。
思う事は、
「全ての情報を鵜呑みにせず、あくまで一つの方法として参考に出来れば・・・」
と、いうことです。
すべて作業は自己責任でお願いします。
まず、P2002の故障診断が出てしまった場合、診断機ではこの故障コードが消せないという事。
まずはその消去方法から
チェックランプ消去方法
1:バッテリーの端子を外す(-端子)
2:60秒放置
3:アクセル開度、VNターボ学習の為、スタータSWをONにした後、一旦キーをOFF →5秒以上待ってから再始動
4:エンジン機差学習の為、水温が60℃になるまで暖機
*ちなみに、これで再度「P2002」が検出された場合は【触媒劣化】の疑いがあります。
なぜ「P2202」の故障診断が出た場合に強制再生が出来ないのか??
その理由は、
DPR装置内の堆積したPM(アッシュ・灰分)が一気に燃焼し、異常燃焼でDPRが破損するのを防ぐためなので・・・
無理に強制再生をすると危険であり、故障の原因にもなりかねませんのでご注意ください。
警告灯を点灯させる検出条件とは??
1トリップ(始動→走行→エンジン停止)で点くようになってるようなんですが・・・
・走行中に絶対圧センサーが閾値以上の差圧を検知した場合
・走行中、PM強制再生が必要な表示やオイル交換が必要な表示が出てからも走行を継続して、PM堆積量が限界を超えた場合
・PM強制再生中、触媒昇温が十分に得られない場合
・PM強制再生が1時間以上掛かる場合
これらのどれかに当てはまってしまった時点でエンジン警告灯が点灯してしまう仕組みとなっています。
PM堆積に対する制御
3段階までありまして・・・
・堆積量が(A)を超えた場合 →自動的に強制再生を開始し、堆積量がゼロになるまで運転
・(B)を超えた場合 →コンビネーションメータ内の「DPR」ランプを点滅させ、ドライバーに点検を促す
・(C)を超えた場合 →エンジン警告灯を点灯。エンジン制御を「フェイルセーフモード」にして燃料噴射量も必要最小限にする。 *無理に強制再生をすると故障のリスクがあるレベルです。
今回の入庫した車で言えば・・・
(C)を超えた状態に該当するということになります。
ちなみに・・・
エンジンオイルレベルウォーニングランプ(アッパー)点滅中も強制再生は禁止です。
データモニターを見たときに注意して見るべき所は??
これは診断機の種類により表示方法が違うと思いますが・・・
G-SCAN Tab で診たデータとしては・・・
・DPR/DPNR差圧
*3,350r/min(点検時)で30kpa未満
・排気温度(IN・OUT)
*INとOUTで温度差があったり、強制再生させても温度が500度以上上がらない場合などを点検
・燃料補正量(#1~#4)
*アイドリングで-5~+5%ぐらいが基準値以内
・噴射量
*アイドリング(600r/min)で5~12m㎥/st.cyl
などを注意してみると何か基準値から外れていたりしていることがあるかもしれません。
もちろん、エンジン回転数を見ながらだったり、様々な基準値を知っておくという前もった用意は必要かと思いますので・・・
トラブルがある前に、正常である状態の車両のデータをとっておくのも良いと思います。
今回の推定原因は??
推定原因と書いてあるのも結局はすべて修理したわけではなく、相当な費用が掛かると思われ、
「それなら修理は控えようかな・・・貰った車だし・・・」
と、いう話の流れになり全てを点検し分解する事が出来ませんでした。
ただ、データモニターからわかった異常な数値がありました。
・排気温度 *強制燃焼時 300~400度(500~600度まで上がる事がなかった)
・噴射補正量
#1 6~10m㎥/S
#3 -8~8,5m㎥/S
そして目視点検により、エキゾーストリターナ(排気ブレーキ)の箇所が腐食していた事もあり、様々な可能性が出てきましたので・・・・
まとめると・・・
・インジェクターの開き不良
・エキゾーストリターナ(排気ブレーキ)の閉じ(密着)不良
・DPR(触媒)の劣化&詰まり
◎インジェクターが制御通りの噴射(ポスト噴射)ができず、マフラが十分な温度まで上がらずDPR(触媒)が詰まってしまった可能性。
◎エキゾーストリターナが十分に閉じる事ができずに熱を貯めることができないので強制燃焼で500度まで温度を上げる事ができず、燃焼不足により触媒を詰まらせてしまった。
◎自動再生、手動再生が不十分により詰まりを起こした。
これらの可能性が推測されました。
あとはフタを開けてみてのお楽しみですが・・・
今回はこの辺で。
ありきたりな情報かもしれませんが、見てくださった誰かのお役に少しでも立てれば嬉しいです。