エルフの「DPD手動再生」のランプが消えてくれない件

いすゞ・エルフの走行不良。そして「DPD警告灯」のランプが点灯。原因は??

車両情報

いすゞ・エルフ

初度登録年月  平成25年11月

型式  TKG-NHS85A

原動機の型式  4JJ1

総走行距離数  201,410km

状態・症状

メーターを見てみると…

手動再生のランプが点灯しています。

*アナウンスもあります。(再生してください)

そして…

エンジンを掛けた状態を見てみると・・・

エキゾーストブレーキ部分から

白煙が出てきています

診断機(G-Scan Tab)で見てみると・・・

P242F  PM過捕集

P2458  DPD再生時間異常

P2454  DPD差圧センサー系統低入力

P1455  PM過捕集2

と、出ました。

P242F

自動再生が未完了状態であったり、DPD手動再生表示灯(橙)またはDPDスイッチ押して下さい表示の点滅によって要求された手動再生をドライバーが不注意で無視したり、忘れたりすると生じる。

P2458

•DPD再生プロセス中に、頻繁に停止および始動するなどの排気温度が安定しない運転状況のとき、このDTCがセットされる。

•フューエルインジェクターの損傷など燃料システムに問題があると、このDTCがセットされる。

•酸化触媒が劣化もしくは損傷しているとき、このDTCがセットされる。

•再生時間が通常より長い場合は、DPDの再生時間が長いを参照し点検する。

P2454

DPD関連のDTC P1455、P1471、P242F、P2452、P2453またはP2458のDTCがある場合、センサーDTC、ソレノイドDTC、アクチュエーターDTCおよびリレーDTCを最初に診断する。

P1455

•このDTCは、自動再生が未完了状態になったり、DPD手動再生表示灯(橙)の点滅、またはマルチディスプレイ表示によって要求された手動再生をドライバーが不注意で無視したり、忘れたりすると生じる。 (P242Fと同様)

要するに・・・

DPD

もしくは

DPDに関する何かが不具合を起こしているか・・・

どちらにしても

エキゾーストブレーキ部分の白煙漏れを修理して・・・

手動再生を実行!!

手動再生をした結果

排気温度 1」(エンジン側のセンサー)

200℃程しか上がらず30分経過

排気温度 2」(後ろ側のセンサー)

➡ 排気温度1とほぼ変わらずの温度

*実際「排気温度 1」は500~600℃近くまで上昇するのが正常値だそうです。(ディーラー調べ)

考えられる原因は??

何点かありますが

DPDの詰まり

➡詰まりの原因としては・・・短距離走行が多い・手動再生ができていない・・・などが挙げられます。

エキゾーストブレーキの開閉不良 ➡手動再生時、エキゾーストブレーキのチャンバーは閉じてDPDの温度を高めていくが、チャンバーの不具合で開きっぱなしになると排気温度が上がらずDPDのススが燃焼できないので詰まりを起こす原因となる。

*スキャンツールのアクティブテストで排気ブレーキの開閉をテスト出来る。(ものもある)

*今回は取外しもしたので外した段階で開閉の点検を行いました。↓ (こちらは正常と判断させていただきました)

インジェクター不良

インジェクターの詰まりなどが原因で正常な燃料の噴射が出来ない場合きちんとした燃焼が出来ない(温度が上がらない)のでDPDの詰まりの原因となる。

*診断機で補正値など確認

DPDを洗浄しました

エキゾーストブレーキ

インジェクター

などを点検して

特に目立った異常も見られなかったので

DPDを取外し洗浄してみることにしました。

見るからに周りが錆で腐食していて取り外したらもう最後・・・

というようなボルト達。

すべて錆で固着しているので

ディスクグラインダーで切り

DPDを車体から取り外しました。

そしてDPDも3分割にします。

洗浄をするのが

写真の真ん中と右の二つです。

中を覗いてみると・・・

真っ黒です。

なんだか洗いごたえがありそうです。

特殊な洗剤に漬け込み・・・↓

何度も水洗いやエアーブローを繰り返し

なんとかエアーが普通に吹き抜けていくようになりました

漬け置きしたあとの水が・・・↓

真っ黒です。

DPDを乾かした後

新しいボルトとナットを取付け

車体に装着。

そして・・・

また手動再生に挑戦!!

ちなみに・・・

手動再生ボタンはというと・・・

運転席の左側にあり・・・

この右のボタンで手動再生ができます。

(詳しくは車種の取扱い説明書を読んでご利用くださいませ。)

手動再生をしてから10~20分後くらいまでは

200℃位でそれ以上温度が上がらないような雰囲気でしたが

急に温度が上がっていき

(気のせいかもしれませんが・・・)

しっかりと!!

500℃以上上がりました!

その後、ランプも消えて乗り心地も違和感なく、お客様に納車することが出来ました。

その後、お客様からお話を聞くと・・・

やはり、手動再生の方法がわかっていなく

警告灯が点灯しても

放置していたようです。

原因

「DPDの詰まり」による不具合だったということで今回の作業は終了です。

*ちなみに・・・

スキャンツールがなく、

そして

運転席に「排気ブレーキ」のスイッチがない場合、

エキゾーストブレーキの開閉がされているかチェックしたい場合は・・・

(取付されている状態で耳を近づけるなどをして確認したい人は・・・)

こちらの

「暖気スイッチ」

「ON/OFF」 することで

チャンバーが固着していないかなどは確認できると思います。

(余談です)